今回は、当事務所でも頻繁にご依頼をいただく「車庫証明(自動車保管場所証明書)」の現地調査について、実際にあったケースも交えてご紹介したいと思います。
・調査は申請の翌営業日に行われることが多い
車庫証明の申請を警察署に提出すると、多くの場合は、申請日の翌営業日には現地調査が行われています。
この調査では、申請された保管場所が、実際にその車両を保管するに足る広さ・形状か、また他の車両や物が置かれていないかなどを確認します。
調査の結果、問題があった場合には、申請書の右下に記載された連絡先に警察署から電話がかかってきます。当事務所にも、これまで何度も連絡がありました。
・警察署は「不許可ありき」ではない
多くの方が心配されるのが、「調査で問題があったら即・不許可になるのでは?」という点です。
しかし実際には、警察のご担当者の多くは「なるべく許可が出せるように」という姿勢で対応してくださっていると感じます。
不許可にする前に、まずは電話で連絡し、可能であれば申請者側で改善してもらう。その上で再確認し、許可が出せる状態になれば、なるべくスムーズに証明書を交付する——
そういった「現実的な大人の対応」を目の当たりにすることが多々あります。
なぜ、そこまで大人の対応なのか?
それは、車庫証明が自動車登録のためにあまりにも重要な書類だからです。
車庫証明は、自動車登録(新車登録・中古新規登録・名義変更)に必要不可欠な書類のひとつであり、有効期限は交付から1か月。
この証明がなければ、自動車登録ができません。名義変更であれば、新しい車検証が発行されません。新規登録であれば、ナンバープレートや封印を取り付けることさえできません。つまり、車に乗ることができないのです。
車庫証明を申請する時点で、申請者の多くの方はすでに自動車の購入代金を支払っている場合がほとんどです。この段階で不許可になると、購入者はもちろん、販売したディーラーも大混乱。顔面蒼白となるわけです。
そのような重大なトラブルを避けるためにも、警察側は可能な限り柔軟な対応を取っているのだと推察されます。
実際にあった「現地調査での指摘事項」
では、実際にどんな理由で警察から連絡が来るのでしょうか?
以下に、これまでのケースでよくあったものをいくつかご紹介します。
(1)申請したスペースに別の車両が停まっていた
→ 非常に多いのが、ご家族の別の車を停めていたというケース。その他に、ご自身所有の別の車や原付バイクを停めていたこともありました。
(2)プレハブ式の物置が置かれていた
→ 車両は入りそうだが、物置がある状態では入らないため、撤去して再確認が必要とされました。
(3)長さが足りない
→ 駐車スペースの奥行きが足りないため、改善を求められました。
(4)幅が足りない
→ 一度だけありました。車検証に記載された車幅より2cm狭かったという理由でした。それが意味することは、警察署は厳密に計測しているということです。
(5)シャッターが閉まっていて内部が確認できなかった
→ こうした場合は、開けた状態での再調査の対象となります。
したがって、今でも時折ネット上などで見られる噂、「警察は実際には現地調査を行っていない。行っているとしても、巡回中の警察官がちらっと見るだけ」というのは事実ではなく、一種の都市伝説に過ぎません。
管轄の警察署はしっかりと調査しており、調査結果の報告書もあり、担当官によってはわずか数センチの長さや幅が足りなくても、厳しくチェックされ、不許可の連絡が来ます。
車庫証明でお困りの際は、行政書士西川和宏事務所までお気軽にご相談下さいませ。