【第2回】
営業所技術者になれる人・なれない人――資格と実務経験をやさしく整理!
前回は、建設業許可に必要な「営業所技術者」について、その役割やイメージを解説しました。今回は、「では実際に誰がなれるのか?」をやさしく解説していきます。
営業所技術者には、大きく分けて以下のいずれかの要件を満たす必要があります。
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■(1)指定の国家資格を持っている人
例:
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1級または2級施工管理技士(業種に応じた区分)
- 建築士、技術士 など
■(2)大学や高校で専門課程を修了し、一定年数の実務経験がある人
例:
- 建築系の大学卒業+実務経験3年以上
- 工業高校の土木科卒業+実務経験5年以上
■(3)実務経験10年以上の人(学歴・資格不問)
例:
- とび職、左官、大工などで長年現場に出ていた方
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多くの小規模事業者の場合、(3)の「実務経験10年以上」で申請されるケースが多いです。とくに、社長ご自身が職人上がりで長年現場に出てきた方であれば、許可要件を満たせる可能性が高いです。
ただし、「実務経験10年あります」と口で言うだけではダメで、証明書類が必要になります。
■証明に使える主な書類:
- 工事請負契約書
- 請求書や領収書(発注者名・工事内容・日付入り)
- 確定申告書(青色申告決算書など)
- 工事写真(できれば作業中の本人が写っているもの)
- 元請や勤務先による証明書(在籍証明や工事証明など)
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よくある誤解にも注意しましょう。
●「現場で10年やってれば誰でもなれる」→
誤り。
→
証明ができないと“無かったこと”にされます。
●「アルバイトだったからダメですか?」→
条件付きで可。
→
実際に継続して従事していれば、証明方法次第で認められることも。
●「職長や現場代理人だったらOKですか?」→
その役職だけでは不十分。
→
実務経験の中身と継続性が問われます。
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営業所技術者になれるかどうかは、経験だけでなく、“証明できるかどうか”がカギです。
「職人としての人生をどう証明するか」――これは書類を整える私たち行政書士の腕の見せどころでもあります。
次回は、「営業所技術者は営業所にいなければならないって本当?」をテーマに、兼務や例外規定、令和6年の改正内容について解説します。